小説 夜を渡る羽音
幾千羽の蝶が闇の中を群れをなして飛んで行くのを、彼女は感じた。無数の聞こえるはずのない羽音が聞こえる。月は雲に隠れ、天空に光はない。灯りと言えるのは、彼女が持っていた手灯りのみだ。それでも、その蝶たちの羽が鮮やかに黒く光るのが解った。都の大...
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