梟の鳴くとき

息を吐いてすう
身体の中に
風を通す
縮んで苦しい空間を戻すように

安全なところで
次への一歩に
震える指先に
それでも力を込めながら

生まれてきた時の呼吸の様に

忘れないで
唆される様に
おされる様に
それは違う

計算の匂いは自分が知っている
他人にどう説明しようとか
分かってもらおうとか
引き返す時を失わないで

暗く深いクレバスは
人生のすぐ横に
足元のすぐ隣に
開いている時もあるのだから

暗い空気
硝煙の匂い
光る鉄
ビートの効いた光の様な深い闇

跳んではいけない

吐いてすう
忘れないで
逃げることは跳ぶことではないことを

身体に聞いて
生きることを
それは、圧することではない

そんな力が発せられている
そんな力が漲ってくる
暗い崖は

跳ばないで
呼吸に聞いて
かれは知っている